2022年からの、新型車に対するEDR(イベントデータレコーダー/7月から義務化)及びバックカメラ(5月から義務化)の搭載義務化について、ちょっと興味深い調査結果が発表されています。(PR TIMES提供のリリースより)
調査を行ったのは定額カーリース「おとくにマイカー 定額カルモくん」を運営するナイル株式会社。全国の男女1294人を対象に2021年12月1日~12月12日の期間で実施されました。質問はごくごく素朴な4つです。
Q1:新型車への EDR 装備義務化は知っていますか?
・知っている 21.6% ・知らない 78.4%
→ わずかに2割ちょっと。残念ながらそうとう低い結果です。
Q2:義務化を機に EDR 搭載車に買い替えたいですか?
・買い替えたい 67.9% ・今、乗っている車に後付けで設置したい 32.1%
→リリースでは「安全の機能を求める声は非常に多い、つまり、現在の車ではまだまだ不安があると思っている方が少なくないと言えるのではないでしょうか。」と分析されています。
近年、多くの車に一般的に装着されている緊急時のアシストブレーキや、自動運転につながる運転支援技術などとEDRは、目的とする機能が異なっています。けれど逆に「EDRが何か」をよく理解していないからこそ、多くの人がその有用性に対して強い興味を持っていることを、この調査結果が物語っているように思えます。
Q3:新型車へのバックカメラの搭載義務化は知っていますか?/Q4:今持っている車にはバックカメラは搭載されていますか?
・知っている 21.6% ・知らない 78.4%/・搭載されている57.1% ・搭載されていない 42.9%
→義務化についてはEDRと同じレベルの認知しかありません。けれど逆にすでに一般化が進んでいることが明らかになりました。EDRとはちょっと対照的な結果と言えるでしょう。
もうひとつ、バックカメラがEDRと大きく異なるのは、シフトをリバースに入れればたいてい自動的に作動してくれるところでしょうか。EDRも一定の作動条件に達すれば、自動的に事故時のデータを記録、保存してくれます。
けれどとくに意識しなくても便利に使いこなせるバックカメラとは異なり、EDRに残された記録は積極的に活用しようとしなければ役に立つことはありません。
つまり、そうしたデータが必要な事態に陥った時、CDR(クラッシュデータ・リトリーバル)テクニシャンが専用の機器によって記録を引き出し、レポート化されたものを専門のCDRアナリストが分析することによってはじめて、有用なものになるのです。
気を付けたいのは、2022年7月以降の新車にすべてEDRが搭載されれば、事故解析に革命が起きるわけではない、ということです。ただ、そのための道具を手に入れたにすぎません。
活用するための社会的インフラ、制度的課題など、道具を使いこなすために必要な整備は、実はまだまだこれからなのです。
■文:Driving Academy 所属 BOSCH認定CDRアナリスト&CDRテクニシャン 神原 久
………EDR、CDRに関するブログ始めてみました。